三重県気候変動適応センター

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センター活動記録

2025.02.05

「おいしい!の笑顔」を未来へ届けたい(その4)~大豆ミートまんへの期待、環境配慮と地域貢献~

井村屋グループ

この記事は2022年12月7日に実施したヒアリングに基づき、
三重県気候変動適応センターが作成しました。
なお、一部記述内容について、2024年12月現在での時点修正
を加えています。

大豆ミートまんへの期待

 当社では毎年、様々な新商品を開発し、市場へ送り出しています。
 その中で、近年の環境意識の高まりとの関連で注目を集めているのが、2020年に発売した大豆ミートまんです。この商品は植物由来の原材料だけで作られています。
 実は発売当初は、卵白を使っていたのですが、海外輸出に支障があることが分かったため、2年目からは卵白を使うのは止めて、完全に植物由来の原材料だけになりました。

 大豆ミートまんは、エシカル消費やSDGsを意識しているような若い世代の消費者を念頭に置いて開発した商品です。
 正直なところ、日本ではまだ量は出ていません。豚肉の代わりに大豆を使っていて、大豆ミートの認知からいってもやむを得ない部分はあると思います。また、消費者とは別に、小売業の側でも、一部を除いて理解が進んでいないため、売り場を十分に確保できていないという課題もあります。
 ただ、製品としての完成度は高いです。普通の肉まんと食べ比べても違いはわからないはずです。

 Eコマースでの販売は伸びています。当社のウェブショップを通じて、環境等への意識の高い方が買っていただいている印象があります。北米でのニーズも大きいと感じています。
 また、環境に配慮した商品ということとは別に、様々な理由で肉が食べられない方たちから、ありがたい、便利だ、美味しいという声が少なからず寄せられています。
 豚肉を使っていないのでイスラム圏の方も食べていただけるという側面もあります。将来的に可能性がある商品だと思っています。

環境配慮と地域貢献

 当社の工場では、環境配慮と地域貢献のため、施設の整備と運用について、様々な工夫を凝らしています。

 2015年1月からは、建築廃材や間伐材を燃料として利用するバイオマスボイラを導入しました。さらに2019年2月にバイオマスボイラを増設しました。
 木質チップを燃料としたボイラ4基と、そのボイラから発生する排熱を利用した排熱ボイラ3基を設置し、エネルギーロスを低減させる対策も取っています。ボイラから作り出される大量の蒸気は、小豆を炊いたり、肉まん、あんまんを蒸す工程で使用しています。

バイオマスボイラ

 2020年1月には、コージェネレーションシステムを導入しました。
 コージェネレーションは、ガス等を燃料として発電し、発電の際に生じる廃熱も利用する、エネルギーを効率よく使うシステムです。
 当社のシステムでは、都市ガスを燃料にガスエンジンを動かし、発電機を回して工場等で使う電気をつくります。エンジンから出る高温のガスは、工場で使う蒸気を製造するのに使います。
 また、停電が起きても、非常用電源として重要設備へ電力を供給して事業継続を図ることができます。

 当社の敷地内には、防災井戸があります。
 大災害が発生した際には、この井戸水を地域住民の皆さんに生活用水として供給できるよう「水ステーション」が設置されています。また、地域住民の皆さんが携帯電話を充電できる「充電ステーション」も併設されています。
 コージェネレーションシステムは、この井戸水を汲み上げる際の電力、携帯電話の充電用の電力も供給します。

 2016年5月に竣工した新しい冷凍倉庫「アイアイタワー」は、保管能力がそれまでの倉庫の3倍になりましたが、使用する電力はそれまでのままです。
 冷凍機の冷媒には温室効果が低く環境へも配慮したアンモニアとCO₂を採用しています。外壁や屋根には高い断熱性能を持たせ、館内照明は全てLEDを使用しています。
 環境面以外でも、製品を載せるパレットの積載及び冷凍庫内の運搬は自動システムを導入し、無駄のない効率的な保管・物流システムを構築しました。冷凍庫内の温度は-25℃に保たれて品質管理面でも向上しています。

 工場に併設している小売店舗「MOTTAINAI屋」では、製品のうち重量等が若干、規格から外れたもの等を安価に販売しています。品質は正規品とまったく同じです。
 理想を言えば、規格外品は発生しないことが望ましいのですが、地域の皆さんには喜んでいただいていますし、フードロスの削減には多少なりとも貢献していると思います。

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