三重県気候変動適応センター

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センター活動記録

2025.07.15

こだわりの木桶でつくる しょうゆ、みそ(その3)

 伊勢蔵株式会社
代表者 式井 一博

この記事は2024年8月26日に実施したヒアリングに基づき、
三重県気候変動適応センターが作成しました。

味噌の海外展開

 木桶を作る技術を将来に繋げていくための取組で、味噌も醬油と同様に海外への販路拡大に取り組んでいます。同じ海外展開でも、味噌の活動と醤油の活動は、別々に動いています。味噌のメンバーは16社ほどです。
 昨年にはヨーロッパのシェフの方を日本に招いて蔵元を何社か見学してもらいました。木桶で作られた味噌をヨーロッパでも広めてもらうことを目的として実施しました。来られたシェフが料理に使用していただければ一番良いのですが、使用しないものの、向こうに戻られた時、木桶で作られた味噌をシェフ仲間で広めてもらえればと考えています。

味噌が出来るまで

 伊勢蔵では、醤油の仕込みが終わった後、毎年4月から5月の間に味噌の仕込みを行います。醤油と同様に大豆を蒸して麹を作り木桶に仕込みます。醤油は発酵が進んでいる間に攪拌(かくはん)する作業がありますが、味噌の場合には攪拌(かくはん)作業はありません。温度を確認し、静かに置いておきます。熟成期間は、味噌の種類によっても違いますが、早いものは8か月くらい、遅いものは2年くらいです。

 熟成途中の味噌の上には石を載せておきます。この時、味噌からにじみ出てきた液体は木桶の上のほうに溜まります。この液体によって、空気からさえぎられ味噌の酸化を防いでいます。
 しかし、液体も空気に接しているので酸化はします。酸化した液に味噌が接することで、味噌に影響が出ないよう、液体が空気と接する表面積を出来るだけ小さくしておくことが理想です。
 液体の水面の高さが、石の高さより上にならないように、石を載せたり下ろしたりしながら調整しています。
 液体が上がり、石の一番上まで浸かってしまうと、液体が空気と接する表面積は、すごく大きくなります。木桶を上から見て、石がたくさん見えている状態であると表面積は小さいです。石が少なく、液体が出ていなかったら石をさらに載せますが、液体が石よりも上になってしまうと木桶の表面全部で酸化することから石を下ろします。

味噌の種類

 味噌の原料は、大豆と麹、塩と水です。何の麹を使用しているかにより味噌の呼び名が変わります。
 大豆の麹を使って作った味噌が豆味噌です。米麹を使えば米味噌、麦麴を使えば麦味噌です。米麴と豆麴など複数の麹をブレンドして作った味噌は、調合しているので調合味噌と呼ばれます。

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