三重県気候変動適応センター

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センター活動記録

2020.12.25

海に変化をもたらすもの(尾鷲商工会議所で気候変動の話をしました。)

 12月23日、尾鷲商工会議所にお伺いして、約1時間、気候変動の話を聞いていただきました。

 出席したのは、木曜会という、市外から尾鷲市に赴任している、官公庁や企業の代表の方たちの親睦と情報交換の集まりです。
 14名の出席者の他、 商工会議所の役職員の方が終始熱心に耳を傾けていただきました。

 講演内容は、世界と日本の気候の変化、三重県の気候の変化と将来予測、農林水産・自然・防災・健康の各分野で関係者が実感している気候変動の影響と、講じられている適応策についてです。

 尾鷲の年降水量の平年値は約4,000mmで、日本でも有数の雨の多い地域です。また、熊野灘に面した漁業の町としても知られています。
 そこで、今回は、雨の降り方の変化と、海の気候変動について少し長めに説明しました。

 三重県の漁業・海洋関係の方に気候について尋ねると必ず話が及ぶのは、黒潮の大蛇行のことです。

 日本列島に沿って太平洋岸を北上する黒潮の流れは、通常は直進しているのですが、時に大きく南に蛇行して、三重県沿岸を迂回するようなコースを取ります。
 暖かい黒潮の流れが遠ざかるので、海水温は下がるように思われますが、実は黒潮から枝分かれした、黒潮反流が三重県方面へ流れるため、三重県沿岸では水温が高くなる傾向があります。

 さらに、海で漁獲される魚の種類には、レジームシフトと呼ばれる、数十年単位の気候の周期的変化と連動した地球規模の大規模な転換があることがわかっています。

 気象庁、水産庁が公開している図やデータを引用しながら、海に大きな変化をもたらす要因として、人為的な温室効果ガスの排出による気候変動は大いに懸念されるが、他にも、黒潮の大蛇行やレジームシフト、乱獲等、様々な要因が関係していて、変化の原因を特定するのは容易ではないことを説明しました。

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