三重県気候変動適応センター

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センター活動記録

2024.02.29

気温とニホンジカが御在所の自然を変えている(その1) ~御在所岳とロープウェイ、気温の変化~

御在所ロープウエイ株式会社

御在所岳の四季

 御在所岳は、日本二百名山に選定されている、三重県菰野町と滋賀県東近江市の境界にある標高1,212mの山です。御在所岳には、四季それぞれに見どころがあります。
 春は、色とりどりのツツジが可憐な花を咲かせ、新しい季節の始まりを感じさせます。新緑が芽吹き、野鳥のさえずりがそこかしこで聞かれます。
 夏は、山上では気温がふもとに比べて10℃以上も低く、涼を求めて多くの観光客が山上を訪れます。
 秋は、山上から始まった紅葉が山裾へと下っていきます。秋の深まりとともに山肌の色は日々美しく変化し、ふもとの温泉地が紅葉する頃には、山上では冬が始まっています。
 冬は、降り積もった粉雪が山上を覆い尽くし、一面の銀世界が広がる中、樹氷が訪れる者の目を楽しませます。

ロープウェイ事業の始まりとそれから

 ロープウェイが建設される以前から、御在所岳は、鈴鹿山脈の主峰として、多くの登山者、ハイカーに親しまれてきました。山のふもとには湯の山温泉があります。湯の山温泉の歴史は古く、養老2年(718年)、薬師如来のお告げにより浄薫和尚が発見したとの言い伝えが残っています。傷ついた鹿が傷を癒したという伝説から別名「鹿の湯」とも言われています。

 山上と温泉地を繋いだ開発を求める地域の声を受けて、1955年、三重交通(株)がロープウェイ建設の検討に着手し、1959年4月に開通しました。三重交通(株)は御在所ロープウエイ(株)の親会社にあたります。
 ロープウェイの開通当時、ロープウェイを支える鉄塔としては世界一の高さを誇っていました。現在も、その高さは日本一です。ロープウェイからの雄大な眺めや山上の美しい自然を求めて、多くの観光客が訪れました。

 開通初期はユースホステル、バンガローの宿泊部門があり、自然体験学習の場として、関西圏より多くの学生が訪れました。また、ニホンカモシカの生息地として知られることから、世界的にも珍しいカモシカ専門動物園、「日本カモシカセンター」が設立されました。
 現在は、宿泊部門、ならびに日本カモシカセンターも閉園しましたが、御在所岳の豊かな自然を活用したイベントは継続して行われています。
 ロープウェイ利用者数は平成2年度(1990年度)に94万人を記録しましたが、レジャーの多様化、さらには、コロナウイルス感染拡大の影響も大きく、昨年度(2022年度)は45万人となっています。

ロープウェイの鉄塔として日本一の高さを誇る白鉄塔(正式名称:6号支柱、高さ61m)

御在所岳の変化 気温

 御在所岳の山上では、1989年から継続して気温の観測を行っています。
 2017年までの29年間(1989~2017年)と直近の5年間(2018~2022年)とを比べると、気温には明らかな変化傾向が見られます。
 特に3月の平均気温では、1.7℃(1989~2017年)から4.1℃(2018~2022年)へと、2.4℃の顕著な上昇がありました。
 同様の変化は3月以外でも見られます。年間平均気温は9.4℃から9.8℃に、1月の平均気温は-2.6℃から-2.3℃に、2月の平均気温は-1.9℃から-1.3℃に、それぞれ上昇しています。

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