気候変動対策としての「緩和」と「適応」~なぜ、いま、「適応」が必要なのか~
気候変動対策には「緩和」と「適応」の2つの対策があります。
CO2などの温室効果ガスの排出を抑えるための取組が「緩和」です。省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用や、植林によるCO2吸収量の増加などが「緩和」策の具体例です。
これに対し、自然・社会・経済のあり方を調整することで温暖化の悪影響を軽減しようとする取組が「適応」です。農作物の新品種の開発、海面上昇に備えた堤防のかさ上げ、クールビズの普及などが「適応」策の具体例です。
20世紀の100年間で、日本の平均気温は約1℃上がっています。農業、自然災害、健康など様々な分野で、すでに、私たちの暮らしには気候変動の影響が及んでいます。
そして、21世紀の100年間で、気温はさらに上がると予測されています。今と同じレベルの対策しか取らず、温室効果ガスを出し続けた場合には4℃、温室効果ガスを出さないための対策を、より強化した場合でも1℃、上昇することが見込まれています。
このため、気候変動と私たちの暮らしの間で折り合いをつけていく必要がある、それが「適応」です。
留意しなければならないのは、気候変動がもたらす全ての影響に適応できるわけではないということです。「適応」策には、比較的容易に実施できるものがある一方、技術的には対応可能だがたくさんの財源が必要なもの、今の技術では対応できないもの、もあります。
「緩和」と「適応」、2つの対策を念頭におきながら、私たちは、現在の、そしてこれからの気候変動に向き合っていく必要があります。
分野毎の気候変動影響と適応策