2025.01.31
「おいしい!の笑顔」を未来へ届けたい(その3)~気候による輸送・従業員・工場設備への影響~
井村屋グループ
この記事は2022年12月7日に実施したヒアリングに基づき、
三重県気候変動適応センターが作成しました。
なお、一部記述内容について、2024年12月現在での時点修正を
加えています。
気候による輸送への影響
製品や原材料の輸送について言うと、モーダルシフトといって、同じ量の荷物を運ぶ場合、自動車よりも鉄道に切り替えたほうが温室効果ガスの排出は少なくなります。
当社では、九州向けのアイスクリームの輸送は、自動車ではなく鉄道に切り替えています。
短時間強雨、集中豪雨の頻度が増えているため、鉄道が使えなくなって、急遽、自動車など他の交通機関に切り替えることが増えているように感じています。
また、北海道からの小豆の輸送も鉄道で行っていますが、こちらは今のところ、気候による影響が出ているということはありません。
気候による従業員と工場設備への影響
工場の稼働についても、気候が大きな影響を及ぼしています。
近年、夏の暑さが厳しくなっていることもあって、従業員の作業環境を出来るだけ快適に保つために、空調設備を増やしています。
空調用の室外機は、屋根の上や陽の当たる場所等、条件の悪いところに設置されることが多いため、屋外の気温が上がると空調設備への負荷が大きくなります。
工場内の温度管理は当社にとって、とても重要です。
特に、小豆を炊く釜の近くは、室温も高いし湿度も高いので、労働環境としては厳しいものがあります。
原材料の小豆は自然のものなので、品質には少しずつ違いがあります。小豆は違っても、あずきバーの味はいつも均一にする必要があります。
小豆を炊く仕事は、その時々の小豆の特徴を見極めながらの微妙な調整が求められます。長年の経験、熟練、ノウハウが必要な専門性が高い仕事です。機械では代替できません。
このため、担当する従業員が少しでも安全かつ快適に仕事が出来るよう、休憩場所にはスポットクーラーを設置して、冷蔵庫には水分補給用の飲み物も用意しています。
また、あずきバー等の冷菓を製造しているため、当社の工場には大規模な冷凍設備があります。
冷凍設備は水冷式です。工業用水を使って機械を冷やしています。水は地中に埋設された管を通って工場内に運ばれてきますが、暑い時期は当社の工場に供給された時点である程度、水温が高くなっています。このため、冷凍設備に負荷がかかり電力使用量が増えるという問題があります。
圧縮空気を作るエアコンプレッサも暑さにより機械への負荷が大きくなることで影響を受けます。
気温が高くなると、空気圧が高くなりすぎて、機械が止まることがあります。また、圧縮して作れる空気量が減るという問題もあります。エアコンプレッサの周辺に空気が滞留してしまうと、一度排出した熱い空気を再度吸い込んでしまい、機械への負荷がさらに高まることもあります。
従業員と機械設備、どちらも滞りなく働けることが、工場が順調に稼働するための条件です。夏の暑さが厳しくなることで、この当たり前の条件を満たすことが次第に難しくなっています 。
現在は、空調が順調に動くよう室外機に霧状の水を吹きかける、エアコンプレッサの周りに暑い空気が滞留しないように、機械の吸入部に風を当てる等、様々な工夫を凝らして、何とか暑い夏をしのいでいるところです。