三重県気候変動適応センター

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センター活動記録

2026.02.12

山火事から「みえの森」を守ろう~山火事への備え~

 大規模な山火事の発生が、世界や日本各地で相次いでいます。2023年にカナダで発生した山火事では、1,500万ヘクタール以上(三重県の面積の26倍以上)の森林が消失。日本でも、2025年2月に、岩手県大船渡市で(焼失面積3,000ヘクタール)、その後3月にかけて、岡山市や愛媛県今治市、宮崎市等、立て続けに発生しました。
 山火事は森林の消失にとどまらず、人命を危険にさらし、家屋等にも大きな被害をもたらします。また、樹木が貯留したCOを再放出し、地球温暖化につながります。カナダの記録的な山火事では、世界の航空部門における排出量の約4倍に当たる30億トンものCOが放出されました(世界資源研究所)。この山火事の主な原因は、高温で乾燥した天候にあったと考えられています。

 2025年3月27日に伊賀市内で発生した山火事。消防車8台、ヘリコプター1機、総勢60人を超える消防隊員らが消火に当たり、約3時間後に鎮火。森林や田んぼのあぜ等、約8,000平方メートルを焼失し、けが人も1名発生しました。田んぼで焼いていた枯草の火が燃え広がったことが原因です。
 どうすれば山火事を防ぐことができるのか。
 当時、消火活動を指揮された伊賀消防署の藤生正樹副署長にお話を伺いました。

Q.伊賀市内における2025年の山火事の発生状況を教えてください。
A.2025年の火災発生件数は10月15日現在で計70件。このうち山火事は6件で、3月(3件)に最も多く発生しています。全国同様、管内の山火事も春に多く発生する傾向があります。

Q.山火事の主な発生原因は何ですか。
A.2025年の山火事(6件)の原因は、農作業に伴う野焼き(枯葉等の焼却)の延焼(4件)と、ごみ焼却中の延焼(2件)です。伊賀市は山林や農地が広がり、野焼きが習慣的に行われています。この野焼きが原因で、周囲に延焼する火災が後を絶ちません。計70件の火災のうち48件は「その他火災」で、その大半(41件)を「野焼きによる枯草火災」が占めています。「枯草火災」は対応が遅れると周辺に火が回り、山火事や住宅火災に発展する危険性があります。こうした状況の中、伊賀市では2025年3月と9月に「枯草火災多発非常事態宣言」を発表し、市民に強く注意を呼びかけました。

Q.山火事は市街地等の平地で起こる火災に比べ、消火活動がかなり難しくなるのでは?
A.山火事の現場では、消火活動に使う「水」の確保がまず必要です。周辺に消火栓や防火水槽がないことが多く、河川や池等、使える水源を探さなければなりません。また、山間部は消防車が進入できず、ヘリコプターの要請が必要になることもあります。加えて、急こう配の斜面、樹木や獣害対策用の柵等が障害となり、消火活動も難航します。一方、山火事は飛び火で燃え広がる、再燃焼しやすい等の特徴があり、鎮火まで時間がかかるため、多くの人員が必要となります。こうした状況は現場ごとに異なり、一刻を争う中で難しい判断を迫られます。

Q.山火事の未然防止に向け、私たちができる対策についてご指導ください。
A.伊賀市では野焼きによる枯草火災が多発しています。屋外での焼却行為は法律により原則禁止されています。農作業等でやむを得ず野焼きを行う場合は、「枯草は1ヶ所に集めて燃やす」、「あらかじめ消火準備をしておく」、「強風の日は避ける」、「複数の監視員を付け、鎮火まで離れない」こと等を徹底してください。また。近年、気候変動により、山火事に限らず火災の発生リスクが高まっていることを認識し、これまで以上に火災予防の意識を高めていただければと思います。

※この記事は、三重県から委託を受け、当センターが編集を行った情報誌「しきさい」2026冬号に掲載されています。 

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